
育休から復職するとき、私は時短勤務を選びました。
子どもを保育園に迎えに行く時間を考えると、フルタイム勤務は難しい。だから、時短勤務にすること自体はほとんど迷いませんでした。
ただ、気になったのが給料です。
「8時間勤務から6時間勤務になるなら、給料も4分の3くらいになるのかな」
最初は、その程度に考えていました。
ところが、実際に毎月口座へ振り込まれる金額は、勤務時間だけでは決まりません。
基本給のほかに固定残業代が含まれている場合もありますし、社会保険料や住民税が変わる時期もそれぞれ異なります。一定の条件を満たせば、育児時短就業給付金を受け取れる可能性もあります。
時短勤務に変えてから「思っていたより手取りが少ない」と慌てないために、変更前に確認しておきたい項目をまとめます。
※この記事で紹介する金額は、仕組みを分かりやすくするための一例です。実際の給与計算や手当の扱いは、勤務先の就業規則・給与規程によって異なります。
時短勤務の給料は、単純に75%とは限らない
たとえば、1日の所定労働時間が8時間から6時間になる場合、勤務時間はフルタイムの75%です。
基本給が30万円で、勤務時間に応じて基本給が減る会社なら、次の金額がひとつの目安になります。
30万円 × 75% = 22万5,000円
ただし、現在の総支給額をそのまま75%にすればよいとは限りません。
給与明細には、基本給のほかに固定残業代、役職手当、資格手当、通勤手当などが含まれていることがあるからです。時短勤務を始めると、なくなる手当もあれば、これまでと同じように支給される手当もあります。
まずは給与明細を開き、「基本給」と「それ以外の項目」を分けて見ることから始めました。
固定残業代がなくなると、想像より差が大きくなる
特に確認しておきたいのが、固定残業代です。
たとえば、フルタイム勤務時の給与に月30時間分の固定残業代が含まれていて、現在の給与が次の内訳だったとします。
- 基本給:30万円
- 固定残業代:7万円
- 総支給額:37万円
総支給額37万円をそのまま75%にすると、27万7,500円です。
一方、基本給だけが75%になり、固定残業代がなくなる場合は、総支給額が22万5,000円になります。
想像していた金額:27万7,500円
実際の総支給額の例:22万5,000円
差:5万2,500円
同じ「8時間から6時間への時短」でも、何を基準に計算するかで金額は大きく変わります。
固定残業代の扱いは会社によって異なります。給与明細に「固定残業手当」「みなし残業手当」などの項目がある場合は、時短勤務後になくなるのか、金額が変わるのかを確認しておきたいところです。

社会保険料は、給料と同じ月に下がるとは限らない
時短勤務で給料が下がれば、健康保険料や厚生年金保険料も同じ月から下がると思っていました。
しかし、社会保険料は「標準報酬月額」という区分をもとに計算されています。毎月の給料が下がったからといって、その月の保険料がすぐ同じ割合で下がるとは限りません。
育児休業を終えた時点で3歳未満の子どもを養育している場合は、本人の申し出を受けて勤務先が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、標準報酬月額を見直せる制度があります。
条件を満たすと、復職後3か月間の報酬の平均をもとに、4か月目から標準報酬月額が改定されます。
そのため、復職直後は、
給料は時短勤務後の金額に下がったのに、社会保険料は復職前とあまり変わっていない
という状態になることがあります。
この手続きが必要か、勤務先でどのように案内されるかも、復職前に確認しておくと安心です。
住民税は、前年の所得によって変わる
住民税は、前年1月から12月までの所得をもとに計算されます。会社員など給与から住民税が引かれる人は、原則として6月から翌年5月まで、その税額を支払います。
そのため、育休に入って給与収入が減っていても、前年にフルタイムで働いていた期間が長ければ、その所得をもとにした住民税がかかることがあります。
一方、前年の1年間をほぼ育休で過ごし、給与収入が少なかった場合は、復職後に迎える6月から住民税が大きく下がったり、所得や控除の状況によっては課税されなかったりする可能性があります。
育児休業給付金や出産手当金は非課税です。原則として、住民税の計算のもとになる所得には含まれません。
私も、1年間をほぼ育休で過ごしてから復職したため、前年にフルタイムで働いていた人とは住民税の負担が異なりました。
時短勤務後の手取りを考えるときは、現在引かれている住民税の金額だけでなく、「いつの所得をもとにした金額なのか」まで確認することが大切です。
育児時短就業給付金を受け取れる可能性がある
2025年4月から、育児時短就業給付金が始まりました。
2歳未満の子どもを養育するために所定労働時間を短縮し、雇用保険の加入期間などの条件を満たした場合に受け取れる給付金です。
時短勤務中に支払われた賃金が、時短勤務を始める前の賃金の90%以下であれば、支給額は原則として時短勤務中の賃金の10%です。
たとえば、時短勤務中の賃金が20万円で10%の支給率が適用される場合は、次の金額が目安になります。
20万円 × 10% = 2万円
時短勤務中の賃金が時短前の賃金の90%を超える場合は、給付率が調整されます。賃金額によっては支給されないこともあるため、いつでも一律に10%を受け取れるわけではありません。
また、この給付金は勤務先から支払われる毎月の給与とは別に支給されます。家計を考えるときは、次の2つを分けておくと分かりやすくなります。
- 会社から振り込まれる給与の手取り
- 別に支給される育児時短就業給付金
対象となる期間は、原則として子どもが2歳になるまでです。2歳以降も時短勤務を続ける予定なら、給付金が終わったあとの家計も考えておく必要があります。
申請は勤務先を通して行うのが原則です。対象になるか分からない場合は、人事や給与の担当部署に確認できます。

手取り額を考えるときは、3段階に分ける
数字がいくつも出てくると分かりにくいため、私は次の3段階に分けて考えることにしました。
- 時短勤務後の基本給や手当を足して「総支給額」を出す
- 社会保険料、所得税、住民税などを引いて「給与の手取り」を考える
- 対象になる場合は、別に受け取る育児時短就業給付金を足す
給与の総支給額が分かっても、そこから何がいくら引かれるかで、実際の振込額は変わります。
正確な金額を自分だけで計算するのは難しいため、勤務先で試算してもらえる場合は、「総支給額」ではなく「手取りの目安も知りたい」と伝えると確認しやすくなります。
時短勤務前に確認しておきたい8つの項目
時短勤務後の金額を知りたいときは、まず現在の給与明細や勤務先の給与規程を確認します。
確認しておきたいのは、次の8項目です。
- 現在の基本給はいくらか
- 固定残業代が含まれているか
- 時短勤務後の基本給はいくらになるか
- 固定残業代やそのほかの手当はどうなるか
- 通勤手当は変わるか
- 社会保険料はいつ、どの手続きで変更されるか
- 現在の住民税は、いつの所得をもとに計算されているか
- 育児時短就業給付金の対象になるか
すべてを最初から人事に聞かなくても大丈夫です。
まずは給与明細、就業規則、社内の復職案内を確認し、それでも分からない項目だけ担当部署に聞けば、質問も整理しやすくなります。
本当に知りたいのは、減少率ではなく毎月の手取り額

時短勤務にすれば、収入は下がります。
それでも、保育園のお迎えに間に合うことや、帰宅後に少しだけ余裕を持てることは、今のわが家にとって大切です。
時短勤務を選ぶかどうかは、給料だけでは決められません。ただ、生活に必要なお金がある以上、変更後の金額を知らないまま決めるのも不安です。
私も最初は、「6時間勤務なら給料も75%くらいだろう」と簡単に考えていました。
でも、本当に知りたかったのは、給料が何%減るかではなく、毎月口座にいくら振り込まれるのかでした。
時短勤務に変更する前に、まずは現在の給与明細を開き、基本給、固定残業代、社会保険料、住民税を一つずつ確認する。さらに、育児時短就業給付金の対象になるかを確認する。
ここまで分かると、復職後の家計を以前より具体的に考えられるようになります。
関連する読みもの
参考にした公的情報
- 育児時短就業給付金(厚生労働省)
- Q&A~育児休業等給付~(厚生労働省)
- 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出(日本年金機構)
- 個人住民税と特別徴収について(東京都主税局)
- 給与所得に関するQ&A(国税庁)
制度の対象条件や支給額、社会保険料の扱いは、働き方や勤務先によって異なります。実際の金額は勤務先の給与規程や担当部署で確認し、制度については公的機関の最新情報をご確認ください。